番号:UKCD-1130
発売日:2010-08-04
つばき、結成10周年目のフルアルバム。 初期の楽曲を彷彿とさせるセンチメンタルなバラッドから、ヒリヒリとしたロック・チューンまで表情豊かな楽曲群。ピュアな美しさと暖かな空気に満ちた、心に沁み入る10曲を収録したフルアルバム完成。 蒼さそのもののような存在感を湛えて、鮮烈な登場を果たした3ピースバンド、つばきが、いよいよ今年で結成10周年を迎える。暗いと喩えられるくらい、秘められた心の中を炙り出した楽曲を生みだしていた初期から、爽やかに振り切れたと思うほど、ポップセンスを全開にした楽曲を生みだしていた時期もあり、さらにライヴバンドである事実を思い知らせる力強い楽曲や、様々なジャンルを果敢に取り入れた楽曲なども増えていき、もし"つばき"というバンドを辞書に載せるならば、いろいろな意味が追加されていくような歴史を、彼らは重ねてきた。そして10周年の節目となった2010年。新たにUK PROJECTへと移籍して、このアルバム『夜更けの太陽』をリリースすることとなった。より彼ら自身がバンドをハンドリングしていくような活動のスタイルとなっている今だけに、彼ら自身が素直にやりたいこと、そして一色徳保というソングライターのパーソナリティが浮き彫りになったアルバムになっている。1曲目の『太陽』は、フォークソングのように諭すような歌い方の《明日は明日の風が吹く》という一節から幕を開けるが、その時点でドキッとした。"今"というものに縛られている自分自身に気付かされるようで。ドキッとすると言うと、初期のつばきに近いようなエグ味があるアルバムなのかと思われるかもしれないが、今作から感じるのは、そこに留まらないドキッなのである。つまり、事実を生々しく露わにするだけではなく、そこからの進み方が提示されていたり、それを包み込む彼らの姿勢が表れていたりと、スケール感が大きく、優しい印象を与えられるのだ。そういうところから、今までのどんなアルバムよりも、つばきは大人になった、しかもあの頃から変わったわけではなく、あの頃を理解できるような大人になったと思える。もちろんそれは歌詞からだけではない。時に伸びやかに、時に迫りくるような歌声。楽曲に寄り添うような繊細なアレンジ。何度も聴いているが、そのたびに眼前に風景が浮かび上がってくるほどに、天然色のカラフルさを誇る1曲1曲が揃っていると思う。ラスト、アコースティックギターと一色の歌だけで綴られる『僕だけの季節』は、あたたかいメロディでこう締め括られる。《ここに捨てられてる缶や瓶のようにあの日々も輝いている》人生を、自分を肯定しよう。そう思える、こんな時代だからこそ傍にいてほしいアルバムが完成した!
曲目リスト